当日、何してればいい?
出演いただくお客様との日程が決まって、撮影日はもう来週。
ここまで来てふと、「そういえば当日、発注した側の自分は何をしていればいいんだ?」ってなりませんか?
司会のように仕切るのか、ずっと横に立ち会うのか、それとも邪魔にならないよう隅にいればいいのか。調べてみても、制作の流れを説明した記事はあっても、発注側の当日の動きを書いたものはほとんど見つからないんです。
先に結論を言うと、発注担当者が当日やることは、ほぼありません。当日の仕事は、前日までに終わっているからです。なので今回の記事では、導入事例動画を専門に作っている私たちGlisの現場の段取りをもとに、撮影当日のタイムラインと、前日までに出演企業へ案内しておくべきことを書きます。
前提: 当日の現場を回すのは制作会社です
まず前提からです。というのも、発注が初めての方とお話しすると、当日のイメージが「自分が司会進行をして、制作会社がそれを撮る」になっていることが結構あるんです。
実際の現場はそうなっていません。当日は制作会社側から、カメラの横で出演者に質問を投げていくインタビュアー(多くの場合、ディレクターが兼ねます)と、カメラ・音声を担当するスタッフが入ります。質問を投げるのも、時間の管理も、機材まわりのトラブル対応も、全部こちら側の仕事です。発注担当者が進行する場面は、基本的にありません。
……って、「じゃあ本当に何もしなくていいの?」と思いますよね。正確に言うと、当日やることが少なくて済むのは、前日までにいくつかの案内を済ませてある場合の話です。その案内の中身は記事の後半で具体的に書くとして、まずは当日の全体像からです。
撮影当日のタイムライン(半日パターン)
導入事例動画の撮影は、半日〜1日が標準です(作り方の記事で書いた5ステップのうち、ステップ4にあたります)。ここでは一番多い半日パターンの流れを図にしました。
図を見て意外に思われるかもしれませんが、カメラが回っている時間は全体の半分もありません。前後のセッティングと撤収だけで1時間半ほど使います。機材の搬入、カメラと照明の位置決め、マイクの音の確認。ここを急ぐと映像と音の質に直接響くので、私たちは削りません。
もうひとつ、時間が読みにくいのがインタビューです。枠としては45〜60分ですが、良い話が続くと素直に延ばしたくなります。なので会議室は、きっかり3時間ではなく余裕を見て半日押さえておいてください。後ろの予定が詰まっていると、一番良い話が出てきたところで切り上げる羽目になります。
イメージカットというのは、インタビュー映像の合間に挟む、実際にサービスを使っている場面や執務風景の映像のことです。話している画だけが延々と続く動画にしないための素材で、オフィスの中を移動しながら30〜60分ほどで撮ります。
なお、これが1日パターンになるのは、複数名の方に順番に話を聞く場合や、オフィスとは別の場所(店舗・工場・施工現場など)でサービスが動いている様子を撮る場合です。人数と場所が増えるほど、セッティングのやり直しと移動の時間が積み上がっていきます。出演者お一人・会議室完結なら、半日で収まると考えて大丈夫です。
ついでに撤収後の話もしておくと、撮影が終わったその日に担当者がやると良いのは、出演いただいたお客様へのお礼の連絡くらいです。ここから編集に入り、初稿が届くのは2〜3週間後。この先の流れは作り方の記事に書いたとおりなので、撮影日を越えたら、あとは待つだけです。
発注側担当者が当日やること・やらなくていいこと
で、本題の「担当者は何をするのか」です。
やることは、この3つだけです。
- 朝のあいさつと顔つなぎ。出演いただくお客様と制作会社は当日が初対面ということも多いので、間に入って紹介する
- 撮影開始前の雑談に同席する。私たちは10〜15分の雑談で出演者の緊張をほぐすのですが、担当者が共通の話題を出してくれると場が和むのが早い
- インタビュー中に固有名詞や数字の確認で呼ばれたら答える
逆に、やらなくていいことも3つです。
- 進行と時間管理
- 機材まわりの手伝い
- インタビュー中の口出し
特に最後のものは、善意でやってしまいがちなので書いておきます。出演者の答えが詰まったとき、横から「あれですよね、◯◯の件ですよね」と助け舟を出したくなる場面が必ず来ます。ただ、助け舟は出し方次第です。
なので、口を挟むなら答えではなく問いを。それ以外の間の扱いはインタビュアーの仕事なので、任せてもらって大丈夫です。
つまり、当日の担当者の仕事を一言でまとめると「その場にいて、任せること」です。手持ち無沙汰に感じるかもしれませんが、それで合っています。メールを返しながら会議室の隅に座っていてくれるくらいが、現場としてはちょうどいい距離感です。
出演企業に、前日までに案内しておくこと
ここが、この記事でいちばん実務的なパートです。当日の発注担当者が「見守るだけ」でいられるかどうかは、前日までにこの案内を出してあるかで決まります。
4点に共通する目的はひとつで、出演者が当日に初めて知ることをなくすことです。撮影に慣れている人は、まずいません。緊張の大半は「何をされるか分からない」から来るので、分からないことを前日までに全部つぶしておく。案内というより、不安の先回りです。
たとえば服装。案内がないと、出演者は「ちゃんとした格好のほうがいいのかな」と、普段着ないスーツで来てしまったりします。すると画面の中の本人がどこか借り物っぽくなって、話し方まで硬くなるんです。視聴者に見せたいのは普段のその人なので、いつもの仕事着でお願いしています(細かいストライプや柄は画面上でちらついて見えることがあるので、そこだけ避けてもらえれば十分です)。所要時間の案内も同じ理屈で、「半日かかる」と当日に知るのと前日に知るのとでは、出演者の心の余裕がまるで違います。
このうち撮影場所については、機材を置けるスペース・周囲の音の環境・照明を立てられる場所の3点を、制作会社側からも事前に確認します(この確認をきちんとやる会社かどうかは、実は制作会社選びの判断材料にもなります)。担当者がやるのは、制作会社と出演企業の間でこのやり取りが漏れなく流れるようにつなぐことだけです。
あわせて、質問リストの事前共有も撮影の1週間前までに済ませておいてください。何をどう聞くかの設計は質問例30選の記事にまとめているので、ここでは繰り返しません。
当日によくあるハプニングと、現場での対処
ここまで段取りの話をしてきましたが、細かいことは当日いろいろ起きます。よくあるのは次の3つで、どれも現場で対処できます。
- 出演予定者の急な欠席。複数名の出演なら、残りの方を軸に聞く順番と内容をその場で組み替える。お一人だけの出演なら、無理に代役を立てず日程を組み直す。判断は制作会社に任せてOK
- 時間押し。前の会議が延びて開始が30分遅れるのは日常。イメージカットを削って調整し、インタビューの時間は削らない(話の中身は撮り直しがきかないため)
- 言い間違いや言葉の詰まり。そもそもハプニングではなく、編集でつなぐ前提。同じ話を3回言い直しても、完成動画では一番良かった1回しか使われない
3つに共通して言えるのは、当日に起きることは当日になんとかできる、ということです。むしろ現場でどうにもならないのは、出演者からそもそも話が出てこないケースで、これは当日の問題ではありません。撮影当日の出来は、当日ではなく、撮影前に質問をどう設計したかでほぼ決まっています。
で、その質問設計は「撮影日までに誰かがやる宿題」として社内に残りがちです。せっかくでしたら、その宿題ごとこちらで引き受けます。30分のヒアリングをもとに、貴社の商材に合わせた想定質問リストと構成案入りの企画書を無料で作っています。
よくある質問
Q. 発注側の担当者は、撮影に最後まで立ち会う必要がありますか?
最初のあいさつと、撮影開始前の雑談まで同席いただければ、あとは離席しても問題ありません。ただ、インタビュー中に固有名詞や数字の確認でお声がけすることがあるので、すぐ連絡がつく状態でいてもらえると助かります。
Q. 出演者に原稿の暗記やリハーサルをお願いすべきですか?
不要です。むしろ逆効果で、原稿を用意すると答えが棒読みになります。当日は会話形式で進めますし、言い直しは何度でもできるので、事前にお願いするのは質問リストに目を通しておくことだけで十分です。
Q. 撮影場所は普通の会議室でも大丈夫ですか?
大丈夫です。実際、撮影の多くは出演企業のオフィスの会議室で行います。機材を置けるスペース・周囲の音・照明の3点は制作会社が事前に確認するので、窓のある少し広めの会議室を半日押さえておいてもらえれば、まず問題になりません。
Q. 出演者の上司や役員が「当日見学したい」と言ってきたら?
同席自体は問題ありませんが、インタビュー中の人数は最小限をおすすめします。見ている人が増えるほど、出演者の答えは社内向けの模範解答に寄っていきます。ご覧いただくなら、セッティング中やイメージカット撮影の時間帯が向いています。
まとめ
- 当日の現場を回すのは制作会社。発注担当者の仕事は、あいさつ・顔つなぎ・事実確認の3つだけ
- 半日パターンの流れは、セッティング30〜60分 → 雑談10〜15分 → インタビュー45〜60分 → イメージカット → 撤収
- 前日までに服装・場所・所要時間・言い直しOKの4点を案内して、出演者が当日初めて知ることをなくす
- 欠席・時間押し・言い間違いは現場で対処できる。任せてよい
最後にひとつだけ。当日の段取りは制作会社側で持てるのですが、担当者にしかできない仕事がひとつだけあります。出演をお願いしたお客様にとって、当日いちばんの安心材料は、見知った顔のあなたが機嫌よくその場にいることなんです。段取りはこの記事と制作会社に預けて、当日はいつもの打ち合わせくらいの顔で来てください。
撮影当日の進行はもちろん、質問設計から取材・編集までまとめて任せたい場合は、私たちにご相談ください。構成案・想定質問リスト・概算見積り入りの企画書を無料で作っています。無理な営業はしませんので、Glisに発注しないという場合でもお気軽にお声がけください。
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執筆: 平木 隆太(Glis)

