どこも、同じに見える。

導入事例動画を作ることが決まって、制作会社のサイトを3社ほど見て回った。
どこにも「企画から撮影・編集までワンストップ対応」と書いてある。実績の動画も、どれもきれい。
なのに見積りを取ったら、30万円と80万円が並んでいる。
違いが分からないんだから、もう金額で選ぶしかない。
……ってなっていませんか?

私たちも制作会社なので耳が痛いのですが、この業界、Webサイトを見比べただけでは違いがほぼ分かりません。同じ「ワンストップ」という言葉の中身が、会社によってまったく違うからです。それなのに数字だけははっきり見えるので、決め手が金額しかなくなってしまう。

なので今回の記事では、導入事例動画を専門に作っている私たちGlisが、金額の前に見てほしい7つの比較ポイントと、相見積りを同じ条件で比べる方法を、中の人の視点で書きます。

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結論: 完成した動画ではなく、取材の前後で選ぶ

先に結論だけ言います。事例動画の制作会社は、完成した動画のきれいさではなく、取材の前と後に何をしてくれるかで選んでください。

私たちのところには、他社で作った動画の相談も持ち込まれるのですが、「映像がきれいじゃなくて困っている」という話はほとんど聞きません。困りごとはだいたい、聞きたかった話が撮れていない、社内で使われずに眠っている、といった企画側の話です。映像は編集で磨けますが、撮れていない話は編集では戻せません。つまり差が出るのは、カメラが回っていない時間のほうなんです。取材の前なら、誰に何を伝える動画かの設計、質問づくり、出演してくださるお客様へのお願い。取材の後なら、商談や展示会でどう使うかまで考えた仕上げと展開。

……って言われても、そこが外から見えないから困っているんですよね。分かります。なのでここから先は、その見えない部分を見えるようにしていく手順を、比較の準備から順番に書いていきます。

比較の前に、各社に渡す条件を揃える

意外に思われるかもしれませんが、制作会社選びの最初の作業は、会社を探すことではありません。各社に渡す条件をひとつの文面にまとめることです。

  • 動画の目的と使う場面(商談・展示会・Webサイトなど)
  • 取材する企業の数と、撮影場所のエリア
  • 希望する納期
  • 納品物(本編のほかに、短尺版や縦型が必要か)
  • 予算の上限
  • 出演企業へのお願いを、自社でやるか制作会社に任せたいか

条件を揃えずに問い合わせると、A社は撮影だけ、B社は企画込み、C社は出演依頼の代行まで込みの金額を返してきます。これはもう相見積りではなく、別々の商品を並べて眺めているだけなんです。

予算上限の置き方に迷ったら、先に相場観だけ頭に入れておくと書きやすくなります。導入事例動画の制作費用・相場に、価格帯別に何をどこまで任せられるかをまとめてあります。

制作会社は、ざっくり3タイプ

条件がまとまったら、候補探しです。事例動画を作れる会社は、大きく3つのタイプに分かれます。

事例動画を作れる会社の3タイプ: 導入事例・インタビュー特化型、幅広いジャンルを手がける総合制作型、フリーランスなどの個人・小規模型。それぞれの得意分野と向いている依頼の比較

タイプに優劣はありません。見るべきなのは、自社の依頼内容との距離です。テレビCMのような映像表現が欲しいなら総合制作型が強いですし、社内に企画を立てられる人がいて予算を抑えたいなら、個人・小規模型が合うこともあります。導入事例のように「何を聞き出せたか」で出来が決まる動画なら、インタビュー取材の経験が濃い特化型が第一候補になります。

とはいえ、これはあくまで候補探しの入り口の分類です。特化型を名乗っていれば取材がうまいとも、個人だから安いとも限りません。タイプで当たりをつけたら、最後はこのあとの7つのポイントで1社ずつ確認してください。

選び方の7つの比較ポイント

で、ここからが本題です。候補を2〜3社に絞ったら、この7つで比べてください。

制作会社を選ぶ7つの比較ポイント: 自社に近い実績、目的からの企画設計、質問設計・取材の担当者、出演依頼・許諾の支援、見積りの範囲と追加費用、納期・修正・進行体制、納品後の活用支援

① 自社に近い事例動画の実績があるか

実績は、本数ではなく近さで見ます。制作実績が100本あっても、イベント映像や採用動画ばかりなら、事例取材の場数はゼロかもしれません。BtoBや無形商材の経験があるか、出演しているのが経営者なのか現場の担当者なのか、自社が撮りたい動画と近いものがあるか。そしてできれば、その実績動画を「どういう目的で作って、どう使われたのか」まで説明してもらってください。完成品しか語れない会社と、狙いから語れる会社の差は大きいです。

② 目的と活用場面から企画を設計してくれるか

初回の相談で「どんな雰囲気の映像にしたいですか?」と演出の話から入る会社より、「この動画、誰に見せるんですか?」と聞いてくる会社を選んでください。事例動画は雰囲気ではなく、見せる相手と場面から逆算して作るものだからです。企画で何を決めるべきかは導入事例動画の作り方に書いたので、発注前に流れだけでも掴んでおくと、各社の提案の精度を見抜きやすくなります。

③ 質問設計と当日のインタビューを、誰がやるのか

事例動画の出来は、何を聞けたかでほぼ決まります。じゃあ、誰が聞くのか。しゃべるのは出演するお客様ですが、質問を投げるのは制作会社側の人間です。取材の前に質問リストを設計して、当日はカメラの横からお客様に質問していく、インタビュアーの役回りですね。

で、ここが業界の内情なのですが、打ち合わせに出てくる営業担当と、当日インタビューするディレクターは別人、ということが普通にあります。ディレクターが社外のフリーランス、というケースも珍しくない。この体制が悪いわけではないのですが、間に人が挟まるほど、打ち合わせで話した「これを聞いてほしい」が当日の現場に届かない事故は起きやすくなります。

だから、実際に取材する人が商談の席まで出てくる会社は、それだけで信頼の材料になります。

④ 出演企業へのお願いを、どこまで支援してくれるか

導入事例動画がほかの企業動画と決定的に違うのは、自社だけでは完結しないところです。お客様に出演をお願いして、許諾をいただいて、公開前に先方の広報や上長の確認を通す。この工程を「そこは御社でお願いします」と言われるのか、依頼文面の用意から確認フローの設計まで一緒にやってくれるのか。ここは見積書に現れにくいのに、担当者の負担が一番変わるところです。

この支援の中で、特に経験の差が出るのが最後の「公開前の確認」です。これ、書類を回して終わりの形式チェックではありません。競合のサービス名はもちろんNGですが、日常会話で動詞のように使われているサービス名ほど、話の流れでつい出てきます。業種によっては、サービスの実態を普段の言葉のまま言うと法律に触れるので、出演者が言い慣れた表現を現場で一つずつ言い換えてもらったこともあります。この手のNGは、撮り終えたあとに気づくと編集で消したり撮り直したりで、正直かなり大変です。依頼文面のような入り口の支援だけでなく、出口のここまで先回りしてくれる会社かどうか、聞いてみてください。

⑤ 見積りの範囲と追加費用が明確か

金額そのものより、線引きを見ます。私たち自身も見積書を作る側なので分かるのですが、「一式」という言葉は便利なぶん、中身の解釈が会社ごとにズレます。最低限、次の線引きが書面で分かれているかを確認してください。

確認する線引き見るポイント
撮影何時間まで込みか、超過したときの扱い
交通費・宿泊費見積りに含むか、別途の実費請求か
追加撮影・再編集発生する条件と料金
「一式」の中身何が含まれて、どこから追加料金か

⑥ 納期・修正回数・進行体制が具体的か

「納期は応相談」ではなく、標準スケジュールと修正回数の上限を最初から提示できるか。修正が何回まで込みかは、会社によって本当にバラバラです(ちなみにGlisはLIGHTプランで2回、STANDARDプランで3回まで料金に含めています)。ここが曖昧なまま進むと、終盤で気まずい交渉をする羽目になります。

もうひとつ、進行の実力が見えるのが撮影前の確認です。事例動画の撮影は、出演いただくお客様のオフィスにお伺いすることが多く、機材もそれなりの量を持ち込みます。慣れている会社は、撮影環境について次のようなことを事前に先方へ確認して、案内を出します。

撮影前に制作会社が出演企業へ確認すること3点: 機材を置けるスペース、周囲の音の環境、照明を立てられる場所

ここが曖昧なまま当日を迎えて、行ってみたら撮れる場所がない。結局、狭い部屋で絵が微妙になったり、騒がしい場所で録るしかなかったり──という失敗談は、ご相談の場でお客様から聞いたことがあります。「撮影場所について、事前にどんな確認をしますか?」と聞いてみると、段取りの実力が分かります。

⑦ 納品後の使い方まで話が出るか

納品して終わりの会社か、商談用の短尺やWebでの見せ方まで提案してくる会社か。事例動画は作ることではなく使われることがゴールなので、初回相談の段階で活用の話が出てくるかどうかは、いい判定材料になります。

なお「担当者との相性」をポイントに挙げる記事も多いですが、私たちは相性を独立した項目にはしていません。この7つを確認する会話の中で、説明が誠実か、できないことをできないと言うか、返信が安定しているか。相性は、そこに自然と表れます。

相見積りは、同じ条件・同じ表で比べる

候補が絞れたら、最初にまとめた条件をそのまま同じ文面で各社に渡して、見積りを取ります。

返ってきた見積りは、総額だけを見比べないでください。同じ50万円でも、企画と出演依頼が入った50万円と、撮影・編集だけの50万円は別物です。内訳のどこを見るかは、費用相場の記事の見積りチェックリストにまとめてあります。

その上で、7つのポイントを1枚の表にして各社を並べます。

制作会社の相見積り比較シートの例。縦に7つの比較ポイント、横にA社・B社・C社の列を並べ、各項目に自社での重要度(高・中・低)を付けて比較する

コツは、全項目を平等に見ないことです。自社にとっての重要度を高・中・低で付けて、高の項目で決める。全部を満たす会社は基本的に存在しないので、どこで妥協するかを先に決めておくほうが、あとで揉めません。

この表があると、上司への説明も一文で済みます。「A社は最安ではないが、出演依頼の代行と質問設計、納品後の展開まで含まれていて、うちの作業負担と追加費用のリスクが一番小さいので選んだ」。稟議で聞かれるのは、だいたいこの一文の中身です。

ただ、ここから先は「比較表を作って、一度社内で相談してから各社に見積り依頼」という流れになりがちです。せっかくでしたら、概算見積りを先に持ってその相談をやりませんか。

導入事例動画ならGlis。フォームにご記入いただくだけで、概算のお見積書を2営業日以内にお送りします。打ち合わせは不要です

こう選ぶと後悔しやすい、3つのパターン

実際に相談を受ける中で、「前回はこれで失敗しました」とよく聞くパターンが3つあります。

ひとつめは、金額だけで選ぶパターン。安い見積りには安い理由があります。相談で話を聞いていくと、企画・出演依頼・修正が範囲の外にあって、浮いたはずの金額が社内の工数と追加費用で消えていた、というオチが目立ちます。

ふたつめは、有名企業のロゴが並ぶ実績ページで選ぶパターン。大手との取引実績があっても、自社を担当するのが同じチームとは限りません。見るべきは会社の看板ではなく、目の前の担当者が事例取材を語れるかどうかです。

みっつめは、「全部お任せください」を確認せずに信じるパターン。契約後に「出演企業への依頼は御社からお願いします」と言われて初めて、お任せの範囲を知ることになります。

3つとも、根っこは同じです。見積書や実績ページの見た目で判断して、範囲を確認していない。逆に言えば、範囲の確認だけで、この3つは入り口でぜんぶ防げます。

初回相談で、これだけは聞いておきたい5つの質問

範囲を確認するといっても、何を聞けばいいのか。初回相談でこの5つを聞けば、7つのポイントの大半がカバーできます。

  1. 「この見積りに含まれていない作業はどれですか?」
  2. 「質問リストを作るのと、当日インタビューするのは、どなたですか?」
  3. 「出演企業へのお願いは、どこまで代行してもらえますか?」
  4. 「修正は何回まで込みですか? 超えたらいくらですか?」
  5. 「納品後、この動画をどう使うのがおすすめですか?」

どれも答えにくい質問ではないので、ここで回答が曖昧になる会社は、進行中も曖昧なことが多い。私たちの実感では、この5つに即答できるかどうかで、進行のストレスはかなり予測できます。

ちなみに、これは制作会社に聞く質問のリストです。取材当日にお客様へ聞く質問は別物なので、そちらは導入事例動画の質問例30選を参考にしてください。

よくある質問

Q. 何社くらいに相見積りを取ればいいですか?

2〜3社が現実的です。5社以上になると、条件のすり合わせと打ち合わせだけで担当者が消耗して、比較の精度もかえって落ちます。タイプの違う2〜3社(特化型と総合型など)を並べると、違いが見えやすいです。

Q. 一番安い会社を選んではいけませんか?

そんなことはありません。企画や出演依頼を自社で担えるなら、撮影・編集中心の安い見積りが合理的な選択になることもあります。問題なのは安さではなく、何が含まれていないかを知らずに選ぶことです。総額ではなく、自社で負担する工程まで含めて比べてください。

Q. 出演企業が遠方でも対応してもらえますか?

全国対応の会社は多いですが、交通費・宿泊費が見積りに含まれているかは会社によって違います。取材先のエリアを最初の条件出しの段階で伝えて、込みの金額で比較してください。Glisは全国対応で、概算時点で交通費まで含めてお出ししています。

Q. 発注してから納品までは、どれくらいかかりますか?

標準的な1社取材なら、企画開始から納品まで4〜6週間が目安で、Glisの標準もこの幅です。ただ、正直に書くと、出演企業に承諾をいただくまでのやり取りは相手のあることなので、ここは読みにくい。先方の社内確認がすんなり通れば数日ですが、1ヶ月以上かかることもあります。公開したい時期が決まっているなら、出演のお願いだけでも早めに動き出すのが安全です。

まとめ

制作会社選びは、完成映像の見た目ではなく、取材の前後に何をしてくれるかの勝負です。条件をひとつの文面に揃えて、タイプの違う2〜3社に同じものを渡して、7つのポイントを表で比べる。ここまでやれば、選定の理由も社内にちゃんと説明できます。

最後にひとつだけ。比較表を完璧に埋めてから、と構えなくて大丈夫です。空欄のまま残った項目こそ、そのまま初回相談で聞くことリストになります。3社のサイトをもう一周するより、候補の1社にこの7項目を聞いてみるほうが、違いはずっと早く見えてきます。Glisに聞いていただいた場合は、もちろん全部即答します。