その質問で、本音出ますか?
同じお客様に取材しても、質問の設計次第で、よくある宣伝っぽい動画にもなれば、営業がそのまま商談で使える一本にもなります。
機材でも編集技術でもなく、「何を聞いたか」でほぼ決まるんです。
とはいえ、いざ質問リストを作ろうとすると手が止まりませんか? 何を、どの順番で、どこまで踏み込んで聞いていいのか。
この記事では、私たちGlisが取材で実際に使っている質問の型を、そのまま使える30個の質問例として公開します。
……って、「3分の動画に質問30個?」と思いますよね。実際には、全部聞くわけではありません。どの質問から良い答えが出てくるかは、正直その場になってみないと分からないんです。だから質問は多めに用意しておいて、当日は話の流れで使い分けます。30個はそのための手札で、ここから10〜15個選んで臨むイメージです。
質問リストの前提: 構成に沿って設計する
質問は思いつきで並べるのではなく、動画の構成「課題 → 検討 → 導入 → 成果」の各章に対応させて設計します(構成の考え方は導入事例動画の作り方を参照)。各章から使えそうなものを10〜15個選び、撮影の1週間前までに出演者へ共有してください。
【導入前の課題】を聞く質問例
動画の冒頭で視聴者に「うちと同じだ」と思わせるパートです。具体的なエピソードと数字を引き出します。
- 導入前、業務はどのような体制・やり方で行っていましたか?
- その中で、一番困っていたことは何でしたか?
- その課題は、日々の業務の中でどんな場面で表面化していましたか?
- 課題を放置すると、どんな影響がありそうだと感じていましたか?
- 課題解決のために、それまでに試したことはありますか? 結果はどうでしたか?
- 当時を振り返って、一番しんどかった瞬間のエピソードを教えてください
ポイントは3と6のような場面を聞く質問です。「業務効率に課題がありました」ではなく、「毎月末に担当者が2日間残業して集計していました」のような、聞いた人の頭に場面が浮かぶ答えを引き出したいんです。
【検討・選定理由】を聞く質問例
視聴者(検討中の見込み客)が最も知りたいパートです。比較検討のリアルな内幕こそが価値になります。
- 解決策を探し始めたきっかけは何でしたか?
- どのように情報収集をしましたか?
- 他社製品・サービスとも比較しましたか? どんな点を比べましたか?
- 最終的にこのサービスを選んだ決め手は何でしたか?
- 導入前に不安だったこと・懸念していたことはありますか?
- その不安は、何によって解消されましたか?
- 社内(上司・現場)への説明はどのように行いましたか? 反対はありませんでしたか?
11〜13は必ず入れてください。「不安はあったが、こう解消された」という証言は、いま同じ不安を抱えている視聴者への最強の後押しになります。逆に「不安は何もありませんでした」という綺麗な話だけの動画は信頼されません。
【導入プロセス】を聞く質問例
- 導入はどのような体制・スケジュールで進めましたか?
- 導入時につまずいたこと、大変だったことはありますか?
- それをどう乗り越えましたか? ベンダーのサポートはどうでしたか?
- 現場のメンバーにはどのように浸透させましたか?
- 「導入してすぐに感じた変化」はありましたか?
導入の苦労話はネガティブ情報に見えて、実は「乗り越え方がわかる」安心材料です。カットせずに活かします。
【成果・変化】を聞く質問例
- 導入してから、業務はどう変わりましたか?
- 数字で表せる成果はありますか?(時間、コスト、件数、売上など)
- 数字以外で、現場の雰囲気ややり取りに変化はありましたか?
- 導入前の自分に教えてあげたいことはありますか?
- 想定していなかった副次的な効果はありましたか?
- 今後、このサービスをどう活用していきたいですか?
20の数字が取れると動画の冒頭ダイジェストに使えます。事前共有の段階で「可能な範囲で数字をご準備いただけると嬉しいです」と添えておくと、当日の回答の精度が上がります。
【締め・推薦】の質問例
- どんな会社・チームにこのサービスをおすすめしたいですか?
- 導入を迷っている企業に、経験者としてアドバイスするなら?
- サービス提供元(当社)への今後の期待があれば教えてください
- 一言で表すと、このサービスは貴社にとってどんな存在ですか?
- (担当者個人として)この取り組みで一番嬉しかったことは?
- 最後に、言い残したことがあれば自由にお話しください
26は「迷っているなら、まず◯◯から試すといいですよ」という視聴者への直接アドバイスが出やすい質問で、クロージングに最適です。30の自由回答から思わぬ名言が出ることも多いので、時間が押していても省略しないでください。
やってはいけないNG質問
特にやってしまいがちなのが、1つ目の誘導質問です。誘導されると、お客様はその場の空気で肯定的に答えるしかなくなります。そしてその「言わされている空気」は、映像を通して視聴者にちゃんと伝わってしまうんです。
インタビューで欲しいのは「正しい回答」ではなく、その人にしか出てこない言い方です。質問リストを作ったら、送る前に一度だけ見直してみてください。相手が想定外のことを話し出せる余白が、その質問に残っているかどうか。
本音を引き出す深掘りのコツ
質問リストは「網羅するチェックリスト」ではなく「会話の出発点」です。実際の取材では、回答に対して次の相槌で深掘りします。
また、撮影開始前に10〜15分の雑談で緊張をほぐすこと、「言い直しは何度でもできます」と最初に伝えることも、本音を引き出す土台になります。
ちなみにこのあたりから、「リストは作れそうだけど、当日の深掘りまで社内でやるのか」という分担の話になりがちです。取材ごと任せる場合に備えて、貴社の商材に合わせた想定質問リストを無料でお作りしています。
事前共有の仕方
- 質問リストは撮影1週間前までに共有する
- 「暗記は不要です。当日は会話形式で進めます」と必ず添える(原稿を用意されると棒読みになるため)
- 数字で答えられそうな項目は事前準備を依頼する
- 当日の所要時間(インタビュー45〜60分+イメージカット撮影)を伝える
まとめ
- 質問は「課題→検討→導入→成果」の構成に対応させて10〜15個選ぶ
- 「不安だったこと」「大変だったこと」を聞く質問が動画の説得力を作る
- 誘導質問・クローズド質問・複合質問はNG
- リストは出発点。当日は「具体的には?」「たとえば?」で深掘りする
ひとつ付け加えると、リストを完璧にしても、本音はリストからは出てきません。出てくるのは、相手の答えに乗って返す「たとえば?」の一言からです。リストは安心して脱線するための土台だと思ってください。
質問設計から取材・撮影・編集までまとめて任せたい場合は、私たちにご相談ください。30分のヒアリングをもとに、貴社の商材に合わせた構成案・想定質問リスト・概算見積り入りの企画書を無料で作っています。
関連記事: 導入事例動画の作り方(構成・台本テンプレート) / 導入事例動画の制作費用・相場 / 制作会社の選び方
執筆: 平木 隆太(Glis)

